用土・鉢
・地生ランには、日向土などの水はけの良い軽石のようなものと腐葉土、赤玉土、桐生砂など保水性の良いものを、栽培する野生らんにより、いろいろ混合して使用します。また用土は使用前にふるいにかけ大きさを整え、微塵を取り除くようにします。鉢の上に水苔をひくと、保水性が高まります。鉢と用土の組み合わせ、置き場などによって乾き具合が違うため、用土の混合割合はケースバイケースで考えるようにします。
・元気のないエビネなど、水苔で植えると、よく根を伸ばし元気が回復します。
・乾燥を好むフウランやせっこくなどの着生ランは、素焼き鉢に水苔単用で植え付けています。水苔は、湿っている時と乾いているときのメリハリがよく、着生ランの栽培には最適です。コルクや流木に付けて栽培するのも風情が出て良いと思います。
・鉢は、実用性や観賞上優れている山野草鉢などが一般的に好まれますが、水やりのタイミングを工夫すれば、プラ鉢や素焼きの鉢でもOKです。プラ鉢は乾きにくく、素焼き鉢は乾きやすい性質があります。プラ鉢は、水はけがよいように鉢穴が大きいものを選ぶか、自分で鉢穴を広げて使っています。
・同じ種類の野生らんは、用土、鉢、置き場所を統一すれば、水やりや施肥などの管理が楽になります
水やり
・エビネなどの地生ランは比較的水を好むランが多いので、強い水切れに会わせないようにします。また潅水するときは、鉢底から水が流れ出て、鉢内の空気が入れ替わるようにたっぷり水をやります。しかし滞水している状態が長く続かないように水はけには気をつけています。
・鉢の表土を見ながら、乾いたらたっぷり水を与えるのが基本です。春から秋は1日1回、朝か夕方に潅水します。夏の乾燥が激しいときは1日2回水をやるようにします。冬場は鉢の表面の用土がなかなか乾わかないので、1週間に1度位になります。
・日中に灌水するときは、葉の付け根などに水がたまり、それがレンズの役割を果たして、葉を焼いてしまうおそれがあります。特に夏は夜又は早朝に水やりをするようにしています。
・意外に冬の乾燥で株を傷めてしまうことがあります。冬でもこまめに観察することが大切です。
・新芽が展開した時期は葉の基部を腐らせる恐れがあるため、芽に水をためないように気をつけます。
・フウランなどの着生ランは、いつもじめじめしめっているようでは、根を腐らせてしまいます。たっぷり水やりして、たっぷり乾かすことの繰り返しがいいようです。
肥料
・春の芽だしの頃から梅雨明け頃までと、9月後半から11月くらいまでの間の成長期には固形油粕やマグアンプKなどの置き肥を与えます。
・油糟にはナメクジがよってきますので、ナメクジ退治が必要になります。また、油粕には、カビが生えます。カビが肥料効果を高めると注意書きに記載されている物もありますが、そのカビがクモキリソウにうつってバルブを腐らせてしまったことがありました。
・気温の高い7月後半から9 月前半までは油粕などは腐りやすいので取り去り、肥料で根を傷めないように気をつけています。葉面肥料(液肥を葉に霧吹きをする方法)ならば、根を傷めることもなく夏の間でも可能です。
・液肥の利用も効果的です。5000倍くらいに充分薄めて、潅水代わりに毎日(生育期間中)のように与えると非常に高い効果が期待できます。
・休眠中(酷暑、酷寒時)は与えません。与えても肥料を吸収する事はなく、根を傷める原因となります。
・葉芸を楽しむ斑入りのラン(東洋蘭や富貴蘭)には、基本的に肥料を与えません。肥料の窒素成分が葉緑素の発育を促進して、柄が消えてしまうおそれがあるからです
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